わたしは昴くんの顔を見てにっこりと微笑む。

いつでもどこでも守ってくれる昴くんがいっしょなら、絶対に大丈夫という自信があったから。


――ということで。


「…かしこまりました」


特別に、渋る昴くんから外出の許可をもらった。


「うわ〜!いい気持ち〜!」


わたしは芝生の上でぐーんと腕を伸ばす。

今日はずっと部屋の中にいたけど、外に出たら秋晴れの空が広がっていて気温もちょうどよくて過ごしやすい。


そうして、わたしがやってきたのは池にかけられた桟橋の上。


そう。

わたしが沙理奈ちゃんに突き落とされた場所だ。


昨日の今日だから昴くんにはここは危険と言われたけど、せっかくだし今日はボートに乗って風景画を描きたかった。

昨日は漕ぎ方がわからなくてやめたけど、今日は昴くんといっしょだから。