「そ…そんな!わたしはべつに…」


部屋にいるのはわたしたち2人だけ。

そのせいで、妙に昴くんを意識してしまう。


『アリスちゃん、沙理奈ちゃんの目の前で昴くんとチューしてたからねっ』


さっきの虹斗くんの言葉を思い出して、顔がぽっと熱くなる。


…どうしようっ。

なんとも思っていなかったのに、…今はなんだか気まずい。


「…ねぇ、昴くん」

「どうかしましたか?」

「外、出てもいいかな?」


このまま部屋で昴くんと2人きりは、心が落ち着かない。


「昨日の美術の風景画、池に落ちちゃって台なしになったから。新しいのを描きにいきたいんだけど…」

「いけません。まだご体調も万全でないというのに…。それでアリス様になにかあったら――」

「そうなったら、ボディガードの昴くんが助けてくれるんだよね?」