「じゃあ、アリスちゃんのファーストキスの相手は昴くんってことだっ」

「も…もう!からかわないでよ、虹斗くん!」


わたしは両手で顔を隠す。

恥ずかしくて、昴くんのほうを向けない。


それに、どうして知らない間に昴くんとそんなことに――。


「まあ正確に言うと、“キス”ではないけどね」


慎太郎くんのその言葉に、わたしは指の隙間から様子をうかがう。


「…え?どういうこと…?」

「昴がアリスちゃんにしたのは“人工呼吸”。溺れて意識がなかったから、当然の処置だよ」

「じ…“人工呼吸”!?」


それを聞いて、わたしはすかさず虹斗くんに鋭い視線を向ける。


「も〜、慎太郎くんが本当のことを言っちゃうから〜。“キス”のままにしておいたほうがおもしろかったのに」


つまらなさそうに口を尖らせる虹斗くん。