わたしは驚きのあまり、思わず大きな声を出して立ち上がってしまった。

そのすぐあとにはっとして、慌てて両手で口を覆い座り直す。


チラリとキッチンに目をやったけど、昴くんは黙々と洗い物をしている。

どうやら聞こえてはなさそうだ。


「待ってよ、虹斗くん…!わたしと昴くんが、キ…キスしたって…どういうこと?…そんなの嘘だよね、慎太郎くん?」

「いや、本当だよ」

「…えっ」


わたしは頭の中がフリーズした。

顔を真っ赤にしてその場に固まる。


「そういえば、アリスちゃんってまだキスしたことなかったんだっけ?」


意地悪く微笑んでくる虹斗くん。


『あれ?もしかして、アリスちゃんって…キスしたことないの?』


前に虹斗くんとはあんなことがあったから、わたしがファーストキスも未経験ということは知っている。