そんな都合いい事早々ないって分かってはいて、半ば仕方ないって割り切りかけていたら。

『恋愛してみたら?』

『…………はい?』

『恋人、作ってみたら?』

 ――……という経緯があって、今に至る。

 私の話を静かに聞いてくれていたかなちゃんは、興味深げにうんうんと頷いてみせた。

「なるほどねー、初華さんそんな事言ってたんだ。」

「うん……。でもね私、恋ってさっぱり分かんなくて。」

 初恋もまだだし、そもそもどんな感じで恋をするかも予想できない。

 だから、かなちゃんに相談しているんだ。

「かなちゃん、お願いします。」

「ん?」

「私に、恋ってどんなものかを伝授してください!」

 土下座する勢いで、そして机の角に頭をぶつける勢いで深々と頭を下げる。

 かなちゃんはお人形さんに見えるくらい整った顔をしていて、同性の私でも惚れてしまいそうなほど一つ一つが可愛い。

 でも背は高くてスラッとしててモデルさんみたいで、かなちゃんとは小中学校は違っていたんだけど……分かる。