朔さんが助けに来てくれたころ、望ちゃんのところにも満さんたちが向かっていたみたい。
 建物の外に出ると、ほとんど同じころに望ちゃんも弦さんに連れられて外に出てきていた。
 お互いに無事だったことを喜びながら、晦さんのチーム【銀狼】の人が運転する車に乗って、どうしてみんながこんなに早く助けに来てくれたのかを聞く。

「え!? 私たちが学校を出るところ見てた人がいたんですか!?」
「と言っても、ちょうどお前たちが車に乗り込んだところだったみたいだけどな」
「それにその目撃した晦兄の仲間は、一人だったから車を追いかける方を優先したらしいよ」

 朔さんと弦さんが説明してくれた話によると、私たちが車に乗せられたところを学校の外で見回ってくれていた晦さんの仲間が目撃したらしい。
 でもその人は一人だったから、私たちの乗った車を見失わないようにどこへ向かったのかを確認して、そのあとで晦さんに連絡したんだって。
 で、連絡をもらった晦さんがすぐにみんなを集めて助けに来てくれたとか。

「そうだったんですね……晦さんたちにもお礼言わなきゃ」

 今回は本当に怖かったから、と感謝を伝えたいって心から思った。
 でも私って、竹刀があれば強くいられるけど、なければ弱い女の子でしかないんだな……。一人になったら、心まで弱くなっちゃったし。
 そのことは実は結構ショックだった。

 強いって、カッコイイって言われるのは嫌だと思っていたはずなのに、いざ弱い自分を自覚すると強くありたいって思っちゃう。
 私、自分で思っていたより強い自分も好きだったんだな。
 こんなことになってから、はっきりと気づいた。