「うおぉぉぉ……」
「わっ! ビックリした」

 うなり声を上げて早速登場したゾンビ。
 望ちゃんは普通に驚いているだけだったけれど、私は心臓が飛び出しそうなくらい驚いていた。
 だって、中学生の作ったものだって侮ってたのにかなりクオリティ高いんだもん。
 特殊メイクでもしてるのか、暗闇のせいもあってかなり本格的に見えた。
 う、ウソでしょ? 初っぱなからこれなの!?
 怖くて思わず無言で望ちゃんの手をギュッとつかむと、望ちゃんは不思議そうに私の顔をのぞき込んできた。

「あれ? あさひちゃん、もしかしてこういうの苦手?」
「そ、そそそそれなりに、ね」

 思った以上に声が震えて、言葉がちゃんと出せなかった。
 そんな自分の弱さが恥ずかしいけれど、怖いものは怖いんだから仕方ない。
 望ちゃんは、小刻みに震える私の手を包んで「大丈夫」って温めてくれた。

「大丈夫だよ、私がついてるから。……でも、怖がってるあさひちゃんってなんだか新鮮。カワイイね!」

 安心させてくれた望ちゃんだけど、続いた言葉はなんだかちょっと楽しそうだ。
 その様子に少し恨めしく思っていると、後ろから突然声がしてビックリした。

「ふーん、あんた怖いの苦手なんだ?」
「え?」

 意地悪そうな響きの言葉に振り返ると、そこには私たちの後に入ってきた様子の宮義さんたちがいた。

「いい加減アタマに来てたんだよね。ちょっとこらしめてあげる」

 ニンマリと楽しそうな笑みが薄闇に浮かんだ。