「確かにすごいよね。立ち向かっていくのもそうだけれど……剣道でも習ってるのかな?」
「え? は、はい!」

 突然の質問に、私はこの街では剣道をしないという決意も忘れて正直に答えてしまった。
 声を掛けてきた男の子が、これまた爽やかなイケメンだったからっていうのもあるかもしれない。
 先の二人と同じ制服の首元を緩めて着ている彼は、緩くウェーブがかっている短い金髪が目を引いた。けれど、薄い紫色の優しげなタレ目がもっと印象的だった。

「はい、これ落としもの」

 金髪の男の子はとんでいった私のネコ柄ミニショルダーバッグを拾ってきてくれたらしい。
 ありがとうございます、と言ってバッグを受け取る私に、彼はニコッとほほ笑んだ。

「こっちこそありがとう、(のぞみ)を――俺たちの妹を守ってくれて」
「え!?」

 思わず驚きの声が出てしまう。
 今、妹って言った?
 妹って、この女の子のことだよね?
 言われてみればどことなく似ている気もしないでもない。
 でも、言われなければ兄妹だなんて全くわからないくらいには似ていない。
 そんな思いが顔に出ちゃっていたのか、弦さんが「似てないよね」と苦笑いした。
 それにうなずいていいのかもわからなくて曖昧に笑っていると、今度は大勢の人が一塊になって近づいて来たのが見える。
 黒スーツの男たちの仲間!? って一瞬思ったけれど、彼らを引き連れている男の子は今まで出てきた三人のお兄さんたちと同じ制服を着ていた。