「そ、それよりどうしてこんなところに? ウタを探してたんですか?」
「ああ、そうなんだ。おやつをあげるときだけはウタ、俺に近づいてきてくれるから」

 ちょっとあげ過ぎちゃうんだけどね。と笑っているけれど、ウタが太っちょなのはそのせいなんじゃないのかな? と少し思った。

「さっきこっちの方に向かったのを見たから追いかけて来たんだけど……見失って。……ついでに言うと迷っちゃってね」
「はい!? 自分の家ですよね!?」

 半月ほどだけれど見てきて満さんが相当ドジなのはよくわかった。【開運祈願】の力である強運で、大変なことにはなってないだけだってことも。
 でもさすがに自分の家の中で迷うのはあり得ないんじゃない? 確かにこの家は広いけど。

「いやその……この辺りは普段来ないし、今はウタを追いかけて来たから周り見てなかったし……」

 どうやら本当に迷ってしまっていたみたい。
 呆れもあったけれど、シュンとした満さんがかわいく見える。
 かわいいものが好きで、ついキュンとしてしまった私は満さんの助けになるよう道案内を申し出た。

「仕方ないので、私が案内しますよ。満さんたちの部屋のあるところならさっき一度行ったので」

 私自身迷ってそっちに行ったんだけど、さすがに一度行けばある程度は覚えてるから。

「本当に!? ありがとうあさひちゃん!」

 パッと喜ぶ様子もなんだかかわいい。年上で、生徒会長もしているしっかり者のイメージなのに、かわいさもあるなんて反則じゃないかな?
 小さく笑っていると、スッと手を取られる。

「じゃあ、お願いするよ」

 まるでエスコートされるお嬢様みたいに軽く手を引かれて、ドキリとした。
 案内するのは私の方だから、エスコートするなら私の方じゃないかな? なんて思ったけれど、満さんのエスコートがまるで王子様みたいに格好良かったから笑って突っ込むことができなかった。