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 弦さんに客室へ案内してもらった私は、また迷わないようにと部屋で大人しくしていた。
 でもそんなに時間が経たないうちに望ちゃんが戻ってきてくれる。

「あさひちゃん、お待たせ! 夕飯出来たよ!」

 そうして案内されたのは見覚えのある居間。
 みんなが座れる大きな座卓には、所狭しとご馳走が並んでいる。
 何かのお祝いなのかな? ってくらいに。

「あさひちゃんに食べてもらいたいなって思ってたもの全部作っちゃった。お弁当じゃあ持って行けない料理とかもあったからね」
「ありがとう……でも、こんなにたくさん。食べきれるかな?」

 張り切ってくれて嬉しいけれど、みんなの分とはいえ量が多いんじゃないかな?
 少しの不安をこぼしたけれど、望ちゃんは呆れを滲ませた笑顔で「大丈夫」と言った。

「うちには食べ盛りの男の子が四人もいるんだよ?」

 その言葉通り、満さんの隣に座ったおじいさんを加えたみんなは次々と料理を食べていた。みんなの箸が止まる様子は全くない。
 いつも一緒にお昼のお弁当は食べているけれど、ここまでがっついてはいなかったからちょっと驚く。
 たくさんの美味しい料理は、私の心配を他所にキレイになくなった。