あれ? そういえば、望ちゃんの家にお泊まりするってことは、朔さんたち四人の家にお泊まりするってことでもあるんだよね?
 いまさら過ぎるけれど、その事実に急に恥ずかしくなる。
 お、男の子の家にお泊まり!?
 いやいや! 誘ってくれたのは望ちゃんなんだし、お友だちの家にお泊まりってことでいいんだよね!?
 どう言葉を変えても状況は同じなんだけれど、なんとなく私の心の平穏的にそうしておいた方がいいと思った。

「さ、ここだよ。どうぞ」

 私が内心葛藤しているうちに客室についたみたい。望ちゃんは障子戸を開けて部屋を見せてくれた。
 広い和室には布団が二つ敷いてある。

「夜寝る前にたくさんお話もしたいし、私も一緒に寝ていいよね? 私の部屋でもよかったんだけど、二つ布団を敷くにはせまいからさ」

 と、望ちゃんはかわいく舌を出す。
 そのかわいさと、私も望ちゃんと一緒に寝られるかな? って期待していたこともあって「もちろん!」とうなずいた。

「じゃあ、ちょっと部屋でゆっくりしてて。私夕飯頑張って豪勢なの作るから!」

 期待してて、と望ちゃんは私を部屋に残していなくなってしまった。
 望ちゃんの夕食楽しみだな、って思いながら荷物を置いてしばらく。私はすることがなくて困ってしまった。
 しまった。望ちゃんに「私も手伝うよ」って言ってついていけばよかった!
 あまり料理はしたことがないから邪魔になっちゃうかもしれないけど……。

「今から行っても迷惑かな?」

 不安をつぶやきながらも、このまま部屋で待っていても仕方ないと思って私は望ちゃんの去った方へ向かった。