「元々メイド役やりたい子が少なかったのと、月島さんと同じ時間帯に一緒にやりたいって子がいなくて……」
「私と一緒だと見劣りするからって言うんだよ? みんなが私にやって欲しいって言うから接客係になったのに、酷くない!?」

 実行委員の申し訳なさそうな言葉に、隣の席で聞いていた望ちゃんがプンプンと怒り出す。
 怒っている望ちゃんもかわいいけれど、確かにそれは酷いねって同意する。

「あ、でもあさひちゃんと一緒に出来るなら嬉しいな! あさひちゃんカワイイもの好きだって言ってたし、メイド風の衣裳着るの興味ない?」

 怒り顔をパッと明るいものに変えて望ちゃんは私を誘った。
 一緒にやろうって誘ってくれたことにもだけど、私がカワイイもの好きだってことをちゃんと覚えていてくれたことが嬉しい。
 実際、実行委員の子は戸惑った表情をしていたし。

「カワイイものが好き? 昨日不審者を撃退したときはあんなに格好よかったのに……」

 でも、私のカワイイもの好きを否定したら断られるんじゃないかとでも思ったのかな? 慌てて首を振って言葉を変えた。

「いいと思う! カワイイものが好きなら、デザインの決まったメイド風衣裳も好きだと思うし!」
「……うん。じゃあ、やってみようかな?」

 困惑されたけれど、カワイイもの好きを否定されずにすんだ私はメイド風衣裳に興味があったこともあってコクンとうなずいた。