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「新学期が始まってすぐだけれど、文化祭は十月の第一週に行われるわ。このクラスで何をするかは決まっているけれど、期間は約ひと月しかないわ。しっかり準備していきましょう」

 朝、先生の話でクラスは明るい雰囲気でざわめき出した。

「衣裳は予算内でなんとかなりそう。提供する食べ物は大丈夫かな?」
「いつも日輪祭(ひわさい)に協力してくれるお店が今回も低予算で協力してくれるみたいだよ?」

 みんな担当する係も決まっているようで、それぞれの役割を楽しんでいる様子が伝わってくる。
 私もみんなの雰囲気につられてワクワクする一方で、係も決まっていないからどうすればいいんだろうとソワソワしていた。
 夏休み明けに文化祭があるのは知っていたけれど、ひと月先だから特に気にしていなかった。
 でもそうだよね、準備期間考えたら今から準備していかなくちゃだもんね!

 このクラスでは執事&メイド喫茶をやるんだってさっき望ちゃんから教えてもらった。
 望ちゃんはメイド風の衣裳を着て接客を担当するんだって。
 望ちゃんのメイド姿、かわいいだろうなぁ。
 想像しただけでもかわいいのは決まり切っていて、見るのが楽しみだって思う。
 私はなんの係になるんだろう?
 そんな風にドキドキしていたら、朝の会が終わってすぐ実行委員の子が話しかけてきた。

「陽木さんには接客係をお願いしたいの!」

 ちょっと切羽詰まったような勢いに瞬きしていると、彼女はまくし立てるように話し出す。