それにしてもこんなに料理が上手なんて……望ちゃんは四つ子のお兄さんたちがすごすぎて肩身が狭いなんて言っていたけれど、ここまで料理上手ならお兄さんたちにひけを取らないくらいすごいと思う。
 食後にそれを伝えたけれど、望ちゃんは謙遜しているのか「そんなことないよー」と困り笑顔を浮かべるだけだった。

「兄さんたちの方がすごいもん! 満兄さんは二年にして生徒会長だし!」

 そのまま望ちゃんのお兄さん自慢が始まった。

「いや、でも俺なんで生徒会長になれたのか今でも疑問なんだけど」

 苦笑する満さん。

「晦兄さんは仲間がいっぱいいるし!」
「いや、俺の場合は力のおかげでもあるし……何よりみんなの気がいいんだよ」

 晦さんは仲間思いなのか幾分優しい表情になる。

「朔兄さんは空手が強いし!」
「……望を守るために鍛えたら自然とそうなったってだけだ」

 食後で眠いのか、少し目をとろんとさせて淡々と話す朔さん。

「弦兄さんは神絵師だし!」
「僕なんてまだまだだよ。上手い人はもっとすごいんだ」

 困り笑顔を浮かべながらも、前を真っ直ぐ見ているような目をする弦さん。

「もう! 私は兄さんたちのすごさが自慢でもあるんだよ! そんな風に否定しないでよ」

 ちょっと怒ったように拗ねる望ちゃんに、みんなが声を上げて笑う。
 本当、仲の良い兄妹だなぁ……と少しうらやましく感じた。