「お弁当っていうか……今日はお母さんも忙しかったからこれなんだよね。望ちゃんのお弁当、食べさせてもらえるなら正直うれしい」
「そうなんだ、よかったぁ」

 大きくホッとした様子の望ちゃんは、イスの一つを引いて私をうながす。

「さ、あさひちゃん。こっちに座って」

 うながされたのは朔さんの隣。
 今朝なぜか迫られたこともあってちょっと緊張したけれど、朔さんは目が合っても「ん」と軽くうなずくだけだった。
 朔さんは特に気にしていないみたい。
 私だけ緊張するのもおかしい気がして、気にせず隣に座った。
 朔さんとは反対側の隣には望ちゃんが座って、目の前には晦さんと満さん。右には弦さんだ。
 昨日月島家にお邪魔したときと同じ並びで、これがみんなの定位置なんだろうなって思った。

「じゃあ食べようか」

 満さんの声に、みんな示し合わせたように手を合わせる。

「「「「「いただきます」」」」」

 声をそろえてあいさつすると、みんな思い思いに箸を伸ばす。
 最初はちょっと遠慮がちだったんだけど、あまりのおいしさに箸が止まらなくなっちゃった。

「すごい! この唐揚げ、冷めていてもジューシー! え? 冷凍じゃなくて手作りなんだよね?」
「うん、そうだよー。唐揚げは特に自信作なんだー」

 私が食べるのを見て喜んでいるみたいに、望ちゃんはニコニコカワイイ笑顔だ。
 嬉しそうな様子がとってもかわいくて、抱きつきたい衝動に駆られる。
 でもいきなり抱きついたら驚かれるし、何より今は食事中だし、とガマンする。