「え? ううん、嫌ではないよ?」

 首を横に振って大丈夫だと伝えた。四人のことはまだよくわからないけれど、別に嫌ってるわけでもないし。

「でもどうしてお兄さんたちとお昼一緒に食べるだけであんなにさわがれるの?」

 一番の疑問をもう一度たずねると、望ちゃんは困り笑顔を失敗したような苦笑いを浮かべる。

「お兄ちゃんたち、有名人だから……」

 そう話しだした望ちゃんによると、まず月島家自体が月島神社の神主を代々受け継いでいる特殊な家で有名なんだって。
 四つ子ってだけでも珍しいのに、そんな有名な家の子どもで、しかもあのカラフルな髪と目だ。
 弦さんは地元の人は慣れているって言っていたけれど、目立たないわけじゃない。さらに言うとみんなイケメン。
 ここまでそろっただけでも目立たないわけがないのに、みんな家とは関係ないところでも有名なんだって。
 満さんは二年でありながらこの日輪中学校の生徒会長を務めていて、全校生徒からの人気を集めているんだとか。
 晦さんは街中の色んな人たちと縁があって、不良たちをまとめ上げて【銀狼(ぎんろう)】っていうチームの総長になったんだって。
 朔さんは昔から空手が得意で、色んな空手の大会を制覇しているらしいし。
 弦さんはイラストがすごく上手くて、中学生でありながら神絵師って言われてるらしい。

「自慢ではあるけれどすごすぎて……私学校ではちょっと肩身がせまいんだ」

 しゅん、と落ち込んでいる様子だけれど、そんな望ちゃんもとってもカワイイ顔立ちをしている。少なくとも四人と一緒にいて見劣りするってことはないと思う。
 ……逆に私が一緒にいていいのかな? って不安になるけれど、いまさら一緒に食べないとは言えない。
 何より望ちゃんから離れたら私ぼっち確定だし……。それに望ちゃんは大事な友だちだし……。
 うん、みんなと一緒にいたら私見劣りしそうってことは考えないようにしよう!
 そう決めて、私は周囲からどう見られるのかって部分をスルーした。