翌朝、私はワンピースタイプの制服に着替えてから自室で少し迷っていた。
 もう使わないと決めたけれど、長年使ってきて愛着があったから捨てられずにしまい込んでいた竹刀。

「うーん……持っていくべきか、持っていかないでおくべきか」

 望ちゃんが危ない目に遭わないように友だちとしてそばにいてくれればいいって言われたんだから、別に竹刀を持ち歩いて護衛の真似事なんてしなくていいんだろうけれど……。

「でも、昨日みたいにまた望ちゃんがさらわれかけたら?」

 昨日は箒を代わりにしたけれど、やっぱり竹刀とは扱いがちがうから戦いづらかった。
 望ちゃんが危ない目に遭いそうになったら、私はまた望ちゃんを守ろうって戦っちゃうのは目に見えてる。

「剣道はしないって決めたんだけどな……」

 と口にしながら、私は右手をのばす。
 何事もなければ使う機会はないはず! 前の学校みたいに王子様扱いされるかはわからないしね!
 そうして心を決めた私は竹刀の入った袋をギュッとつかんだ。

「あさひー? そろそろ行かないと遅刻しちゃうんじゃない?」

 ちょうどそのとき、一階からお母さんの声が聞こえた。