「本当に? あさひちゃん、兄さんたちに無茶なこと言われてない?」
「言われてないよ。望ちゃんの友だちになって欲しいって頼まれただけ」

 心配そうに私の顔をのぞきこむ望ちゃんに、私は笑顔で答える。
 すると望ちゃんの表情がパァッと明るくなった。

「え!? いいの? あさひちゃん格好良くてかわいくて素敵だからうれしい!」

 格好良いはよく言われるけれど、かわいいって言われることはほとんどないからちょっと驚く。同年代の女の子からは特に言われたことなかったから。

「か、かわいい、かな?」

 うれしいような恥ずかしいような気分で聞き返すと、「もちろん!」とうなずかれた。

「その百合柄の浴衣も私が着るより似合ってるし、とってもかわいい!」
「あ、ありがとう……」

 ものすごくほめられて、うれしいより恥ずかしいが勝った私は顔をうめるように下を向く。
 笑顔で私のことをほめてくれる望ちゃんの方がかわいいよ。
 心の中でそう思いながら、私は早くも望ちゃんという友だちができたことを内心喜んだ。