失う前にちゃんと気づけてよかった。


気持ちを伝える前に、日向がいなくならなくてよかった…。



「あのね、日向。私ね…」


「なんか変な感じだな。こんな時間に学校にいるなんて。楽しいな、こんなの絶対忘れられないよ」



なんだか日向の様子がおかしいことにやっと気づいた。



「日向…?」


「なあ、下行かない?みんなにも何も言わずにいなくなったから心配してると思うんだよ。顔見せに行かないとな」


「ねえ日向ってば」



もう少し二人でいたいのに。


本当は今日、後夜祭を二人で過ごさないかと誘って、告白をしようと考えていたんだ。


結局誘えなくて、二人きりの時間も花織さんに譲ってしまうしで諦めていたのに、せっかく二人きりになれたんだ。