まだ心配そうにしている莉央を強引に校庭に向かわせ、私は来た道を戻る。



きっと莉央は私のバレバレな嘘に気づいたに違いない。


だけど今は、一人になりたかった。





「…え?日向?」


「よう」


「なんで…っ。さっき先生から倒れて病院に運ばれたって聞いたよ」



制服姿の日向は困ったようにバレたか、と笑うとゆっくりと私に近づいてきた。



「もう大丈夫だよ。大したことなかったからさ。けど念のため入院になっちまった。一時間だけ外出許可もらったから、後夜祭は出ようと思って。ダンス大会と即興バンドはもう終わっちゃったみたいだな。結構楽しみにしてたのに」


「ひな…た…」



ちゃんと手を伸ばせば触れられる日向の温もりに、嬉しくて涙が出そうだった。