「い、いってぇ!」



手が緩んだ隙に、ささっと男子生徒達の隙間をすり抜けて階段を下りていく。



「あ、おまえ、待て!」



追ってきた男子生徒の伸ばした手をうまくかわすが、その拍子に階段を踏み外してしまいそのまま下に落ちていく。



「…っ」



来るであろう痛みを想像して目をギュッとつぶるが、床に落ちる前に誰かに抱きかかえられていた。



「あ、こ、小坂…」



その名前にぱっと顔を上げると、追いかけてきた男子三人組に向かって小坂くんが鋭く睨みつけていた。



「…おまえら声デカすぎ。階段の下まで全部丸聞こえなんだけど」