あっという間に壁際まで追い詰められると、三人に逃げられないように囲まれてしまった。



「おい、聞いてんのかよ」


「…っ」



俯きながら長い前髪で顔を隠していると、がっと持ち上げるように髪の毛を乱暴に掴まれた。



「…ん、なんだ、ただの地味女かと思ったらまあまあ可愛い顔してんじゃん」


「え、ほんとだ。あーじゃあじゃあその可愛さに免じて、さっきの発言謝って俺たちと遊んでくれるなら、別に許してあげてもいーよ?」



ゲラゲラと不快に笑う男子三人組に、堪えていた怒りの糸がぷつんと切れた。



「…はあ?なんで私が謝んないといけないの?あんたたちこそ、今すぐ小坂くんと山崎くんに謝ってきなよ!最低だよ、そうやって騙して何にも悪くない小坂くんを悪者にするなんて!」


「…は?調子乗ってんじゃねぇぞ女のくせに」



ぐぐっと髪の毛を掴んでいた手に力を入れてきた男子生徒の腕を、がぶりと噛みつく。