「…なにあれ」


「え?」



莉央が山崎くんたちから視線を逸らすと、すっと立ち上がった。



「り…」


「莉央ちゃん!」



どうしたのか聞こうとするよりも先に、素早く莉央に気づいた山崎くんが笑顔で駆け寄ってきた。



「莉央ちゃん、ほんのちょっとでもいいから俺とも回ろうよ!明日一日中シフト入れられてて、回れるの今しかなくてさ。萩原さんには悪いんだけど、ちょっとだけ莉央ちゃんと回ってきてもいい?」


「あ、うん、全然いい…」


「回らない」



背を向けたまま、莉央がぽつりとそう呟いた。