「柚、俺だよ!」



がっと強い力で肩を揺すられハッと顔を上げると、暗闇の中至近距離で私を見つめる日向の瞳と目が合った。



「ひな…た?」


「何やってんだよバカ。早く行くぞ」



日向にごく自然に手を取られると、そのまま引っ張られるようにしてあっという間に教室を出る。



「どうして…」


「一人でお化け屋敷入ってくの見えたから。ここ、意外と怖いってさっきクラスメイトの女子たちが涙目で話してたから心配になって」



心配、してくれたんだ…。


さっきまでの恐怖なんてすっかりいなくなり、今度は嬉しいという気持ちが膨らむ。



「えっと、ありがとう。助かったよ」