だけど私の変わらない日常と違って、柚はお話の中でどんどんと変わっていく。


物語の主人公(ヒロイン)だから。



だからこうして小説を書いていると、私が柚だったらいいのにと思ってしまう。


私には…日向みたいに私を照らしてくれる存在なんていないから。


私のいる意味なんて、ないから…。





「…あ」



次の日の朝、タイミングよく靴箱には小坂くんの後ろ姿があった。


声をかけようか迷ってから、口を閉ざしてその横を通り過ぎる。



もう、小坂くんには話しかけない方がいいのかもしれない。


仲良くなりたいと思ったけど、小坂くんにとってその気持ちは迷惑でしかないのだから。