その笑顔に、ふと違和感を感じたが気づいたら私は小さく頷き





–––––ガッシャン!



夢中になって執筆していた指が、突然聞こえてきた大きな音にびくっと痙攣した。


驚いて顔を上げると、教卓の前で二人の男子生徒が睨み合いながら立っていて、その横には机が数個倒れていた。



「おまえ…人の女に手出そうとしてたんだって?ふざけんなよ!」



怖い顔で相手の胸ぐらを掴んだのは、いつもでかい声で騒いでいるお調子者男子の山崎真紘(やまざきまひろ)だった。



「…は?」


「は?じゃねぇよ、とぼけんな!隣のクラスのやつからおまえが莉央(りお)ちゃんのこと可愛いから俺の女にしてやる、って言ってたの聞いたんだからな!」



胸ぐらを掴まれているというのに、全く動じず山崎くんを長い前髪の隙間から見下ろしているのは、いつも一人でいる一匹狼の小坂蓮(こさかれん)