「りーおーちゃーん!どこ行っちゃったの!?」


「げ、また山崎が騒いでる。ごめん私もう行くね、また明日ね、萩原さん!」


「あ、うん、また明日」



高城さんに手を振り返しながら、誰かと「また明日」と言い合えたことに軽く感動する。


嬉しいことばかり起きていて、まるで小説の中に入り込んだ気分だ。



「よかったな、友達できて」



突然後ろから聞こえてきた声に驚いて振り向くと、小坂くんが扉にもたれかかるようにして立っていた。



「え、小坂くん…」


「現実でもちゃんと友達作れんじゃん」



忘れ物を取りに来たようで、小坂くんは自席に歩いて行くと机の中から宿題のプリントを取り出した。