中庭のベンチに座りお昼を食べる気にもなれずぼーとしていると、向こう側で座ってお昼を食べていた女子四人組が私をチラチラと見ていることに気づく。


きっと例の噂話でもしているのだろう。



「はあ…」



仕方ない、もっと人がいない場所に移ろう。


そう思って腰を上げようとしたところで、後ろから誰かに腕を回された。



「何してんの?こんなとこで」


「…一ノ瀬くん?」



一ノ瀬くんはさりげなく四人に視線を向けると、にこっと笑い手を振っていた。


その不意な王子様スマイルに女子四人組はきゃあきゃあと騒いでいる。



「行こ」