そんなのおかしいと思った。


好きなのに、どうして好きな人を苦しめて平気でいられるのか。



「…私は、小坂くんがいなかったら友達もできなかったし、恋だって…知らなかった。今の私があるのは小坂くんのおかげなの。私は小坂くんのことが好きだから、苦しんでいるなら笑顔にしてあげたい。幸せになることを諦めている小坂くんを、私が幸せにしてあげたいってそう思うよ」



結愛ちゃんに何かを言われる前に、机の上にお金だけを置いてお店を出る。



きっと小坂くんは犯人が結愛ちゃんだとわかっているのかもしれない。


だから本当のことも何も話さずに、自分だけを悪者にしたんだ。


小坂くんは今もまだ自分を犠牲にして生きている。