「結愛ちゃんがどうしてこんなことをしたのかは知らないけど、小坂くんの彼女なら小坂くんの過去を知っていてもおかしくない。あの学校で小坂くんの過去を知っていたのは、おそらくだけど私だけ。だから、犯人は学校以外の人間となる。小坂くんは人を寄せつけようとしていなかったから、小坂くんの過去を知っている人は学校以外でも限られるはず。それが小坂くんと付き合っている結愛ちゃんだけなんだよ。昨日火災報知器が鳴って、犯人はその隙に誰もいなくなった私たちの教室に入り込み、黒板を荒らした。防犯カメラがなくて火災報知器のある場所。それを結愛ちゃんは文化祭の日に探していたんだよね?」



人気の少ない渡り廊下で偶然結愛ちゃんと会った文化祭の日を思い出す。


あの時は気づかなかったけど、出店も何もなかったあの場所に一般人である結愛ちゃんがいたのはよく考えると少しおかしい。


だけどそれが理由なら納得だ。



「…なんだ、空ちゃんって鈍いわけではないんだ」



やっと笑顔の仮面を取った結愛ちゃんが、はあーっと大きなため息をついた。



「すごい、よく一日でそこまでわかったね。空ちゃん、探偵に向いてるんじゃない?」


「じゃあ、本当に結愛ちゃんが…?どうして?」


「どうして?あははっ」