それもよりによって小坂くんに…。



「幻滅、したよね…」


「は?」


「現実では友達の一人もいない私が、まるで体験したかのようにキラキラとした話を書いてるなんて…」



小坂くんは本当に何を言っているのかわからないと言った様子でもう一度「は?」と呟いた。



「それの、何がいけねぇの?」


「…え?」


「おまえに友達がいないとかそんなの知らないけど、現実は現実、フィクションはフィクションだろ。あれにはおまえの理想が詰まってんじゃねぇの?だからあんなに面白いんだろ。読者を夢中にさせんだろ」



ぽかーんとなんとも間抜けな顔で小坂くんを見つめていると、ハッと我に返ったのか小坂くんが気まずそうにぷいっとそっぽを向いてしまった。


まさか小坂くんがそんなことを言ってくれるなんて、きっと誰だって想像できない。