本当の自分を最初から見せようとしていなかった。


あの人は、ずっと作った笑顔を貼り付けていた。





「…あれ、空ちゃん?こんなところで、何してるの?」



一人で校門から出てきた結愛ちゃんが、そばに立っていた私に気づくと目を丸くしていた。



「結愛ちゃんと話に来たの。本当のことを、聞きにね」



結愛ちゃんは焦った様子もなくきょとんと首を傾げてから、ふっと優しく微笑んだ。



「なんのことかさっぱりわからないけど、空ちゃんが会いに来てくれて嬉しいな。せっかくだし、お茶していかない?」



その笑顔が何を思っているのか全く想像もつかなくて、少しぞっとした。


だけど私は逃げないと決めたから。