そんな思いが伝わったのか、罰が悪そうに一ノ瀬くんがそっと頭をぽんぽんと叩いてきた。



「ごめん、怒ってるわけじゃなくて。萩原さんが友達思いなのもわかるけど、辛い時はちゃんと辛いって怒ればいいと思っただけ。だって、そう言い合える関係が“友達”でしょ?」


「…うん。ありがとう、一ノ瀬くん」



一ノ瀬くんは優しく笑うと一人で帰っていった。



「ねえ…」


「ん?」



莉央が耐えられないと言った様子で、私の両肩をがしっと勢いよく掴んできた。



「王子と付き合ってるの!?」


「ええ!?な、何言ってるの!?付き合ってないよ!」


「え?付き合ってないの?だってあんな王子初めて見たよ。いつもの王子様スマイルはどこにいったのって感じでさ」