「…ごめん、一ノ瀬くん。セーターびちょびちょだし、五時間目まで一緒にサボることになっちゃって…」


「別に、ちょうどサボりたかったし」



遠くで聞こえる五時間目の始まりを告げるチャイムを聞きながら、赤い顔をした一ノ瀬くんが隣に腰掛けた。



「顔も赤いし…」


「あのさ、もう恥ずかしいから、ちょっと黙ってくれる?全部承知の上で萩原さんに胸貸したんだから」



耳まで真っ赤にしてそっぽを向いた一ノ瀬くんに、思わずくすりと笑ってしまう。



「でも、誰がこのタイミングで小坂の秘密を暴露したんだろうね?小坂の近くにいる人、ってことでしょ?そんなの限られると思うけど。最近までの小坂は一匹狼で人を寄せつけていなかったって聞くし、そうなると山崎、高城さん、萩原さん、の三人になるのかー。その中で小坂の秘密を知ってたのは、萩原さんだけ。どうして萩原さんは小坂の秘密なんて知ってたの?」


「それは…」



小坂くんが本音を話してくれたあの日を思い出す。