ぽろりと自分でも無意識のうちに右目から涙がこぼれ落ちた。



「あ、ちが…っ、ごめん。今情緒不安定で…」



そんな苦し紛れの言い訳に一ノ瀬くんはふっと笑みをこぼすと、泣いてる顔を隠すかのようにそっと抱きしめてくれた。



「いいんじゃない?誰も見てないんだから、ちょっとくらい泣いても」


「ふ…っ、ううっ…」



一ノ瀬くんの胸に顔を埋めながら、小さく嗚咽を漏らす。



少しも疑うことなく一ノ瀬くんが私を信じてくれて、嬉しかったのもある。


…だけど、それと同じくらい悲しかった。



一番信じてほしかった人、小坂くんには信じてもらえなくて、莉央たちの心もバラバラになってしまって、もうどうしたらいいのかわからなかった。