「あ…白石さん。えっと、小坂くんのこと待ってるの?」


「ううん、蓮じゃなくて今日は空ちゃんに会いに来たんだ。文化祭の日から話したいってずっと思ってて」


「え、私…?」



白石さんが腕を絡ませてくると、「行こう」と引っ張ってきた。


わけがわからないまま連れてこられたのは、駅前の穴場的なおしゃれなカフェだった。



「ここね、中学の時に蓮とよく一緒に来てた場所なの。私の家がこの近くだから、ここなら安くて美味しいし、帰りも遅くなっても大丈夫だからって理由で」


「…そうなんだ」



白石さんはアイスコーヒーとチーズケーキ、私はミルクティーとチョコレートケーキをそれぞれ頼み、謎の沈黙が訪れた。



「白石さんは…」


「結愛でいいよ」