「う…っ」



そんな脅し…頷く以外に方法がないじゃないか…。





「萩原さん、なんか王子が呼んでるよ」


「…げ」



その名前に、思わず掴んでいた卵焼きをお弁当箱の中に落とす。



「また王子?最近空のこと尋ねてくること多いよね。気に入られたの?」


「あはは、なんでなんだろうね、本当…。ちょっと行ってくるね」



一ノ瀬くんにこのことは誰にも言うなと釘を刺されているため、莉央にも本当のことを言えないでいた。


ここ最近一ノ瀬くんに呼ばれては、特に何をするわけでもなくただ一緒にいるだけの時間を過ごしていた。