「い、いや、そんなことはないけど…」



さすが王子と呼ばれているだけあって、器がでかい。



「ありがとう、一ノ瀬く…」


「そのかわり」



とんっと一ノ瀬くんが壁に手をついて、顔を近づけてきた。



「俺の女子苦手症を治すの手伝って」


「…へ?」


「萩原さんの秘密、黙っていてあげるんだからそれくらいやってくれるよね?」


「い、いや、それとこれとは話が別というか…。そんなのめんどくさそ…じゃなくて、私じゃなくてもいいんじゃないかなーなんて…」


「俺の秘密知ってるのは萩原さんだけなんだから、無理に決まってるでしょ。萩原さんが協力してくれるなら、彼女持ちなのに小坂に恋してるってことは黙っててあげる。嫌とは言わせないよ?」