「はは、ばっかみたい…」



誰にも心を開かない小坂くんが唯一気を許して心の内側に入れている存在。


それが白石さんなんだ。



小坂くんのそばにはもう、彼を支えてあげられる大切な人がいたんだ…。



「…何してんの?」



ハッと振り返ると、教室の扉の前に誰かが立っていた。


暗闇でよく見えないけど、それが小坂くんだってことに声だけで嫌でもわかってしまった。



「あ、えっと…忘れ物取りに来たんだけど、下戻る気も失せたからここに…」



慌てて涙を拭い、なんでもない風を装ってそう答える。


小坂くんはそんな私に気づいた様子もなく、なぜか前の席に座ってきた。