いつもドキドキしていたのも、もっと一緒にいたいと思っていたのも、全部私だけだったんだ。


私だけが想っていたんだ…。



もう生徒の声も音楽も何も聞こえてこなかった。


世界は、真っ暗になってしまった。





ぽたりとスマホの液晶画面に涙がこぼれ落ちた。


これは物語の話なのに、自然と私と柚を重ねて感情移入をしたからだけじゃない。



私も、気づいてしまったから。


少し小坂くんに期待していた自分がいたことに。


私とは普通に話してくれるし、距離を取ってくる時もあるけどいざって時にはいつも助けてくれて、背中を押してくれる小坂くんに、いつの間にか期待してしまっていたんだ。


私がそうなように、小坂くんにとっての私も特別な存在なんじゃないかって。