「……」
それが、どういう意味なのか、栗花落は大人だから理解している。
「うん。いいよ?」

そう答えると、翔は栗花落の太ももを掴んで、ゆっくりと股を開かせる。
浴衣がはだけ、帯が緩む。ショーツは丸見えで、翔は右腿に顔を寄せると、唇を這わせた。
「ん……」

彼の顔が、徐々にショーツに近づいていく。
(あ、触られる……)

と、その時。
彼は栗花落の浴衣の帯の紐をするりとほどいて、栗花落の身体を隠すものを取り払う。
そして、栗花落の腰に手を当てると、こしょこしょと指先を動かした。
「あっ。ふふっ。あ、もう! ダメ!」

栗花落は思い切り身体を左右によじらせて抵抗する。
しかし、翔のくすぐりが止まらなくて、声を出して笑ってしまった。

「……ごめん。我慢できなかった」

クスクスと翔は楽し気に笑ってから、ようやく、くすぐる手を止める。

「ここからが、本番」

翔はちゅっと栗花落の唇にキスをして、その身体を熱く、蕩けるように抱きしめた。

「何があっても、絶対に離さないから」

それは、とうの昔から、分かっている。
「まったく同じこと、私も言うね?」

栗花落は翔の肩に手を置いて、にっこりと微笑んだ。

「狂おしいくらい、抱きしめて」

そうして、二人は唇をまた重ね、同じ時を過ごす。
その時間は至極幸せで、お互いの熱が全身を駆け巡り、その愛を昇華させていく。

(ああ。ずっと、こうしていたい)

そうして、二人は朝まで、互いの身体を求め合ったのだった。