これが、正真正銘の、最後――――。
勝に、言いたい言葉があった。
伝えたい気持ちがあって、許せない思いがあった。
(そうだ。彩絵ちゃんに言って、それで終わりじゃない。すべての元凶は、勝の行動にあるんだから……!)
栗花落は真っすぐ翔を見て、ハッキリと告げた。
「社長。私、彼に言いたいことがあります」
その言葉に、翔は一度、大きく頷く。
「ああ。そうこなくっちゃ」
――――そして、二人は勝の働く部署がある階まで移動する。
まだ始業前だが、彼はもう会社に来ている頃だろう。
案の定、彼の席に向かうと、彼はスマホを弄りながら欠伸をかいていた。
そのだらしないところも、付き合っている頃はクスッと笑って流すことができた。
けれど、今になって彼のそんな姿を見ると、なんて緊張感のない男なんだろうと不快な感情が生まれるのだから、不思議なものだ。
「勝」
栗花落がツンと澄ました顔をして声を掛けると、彼は露骨にビクッと肩を震わせる。
「つ、栗花落!?」
勝は、いつも慌てるだけだ。
栗花落に対する謝罪も、申し訳ないという気持ちも、欠片も感じられない。
最初からこういう男だった、ということなのだろうが、どうして今までこんな男だと気づけなかったのだろう。
「ほんと、最低だよね。勝って」
「な、なんだよ。急に……」
栗花落は腕を組んで、彼を糾弾した。
「なんで、未だに謝罪がないの? 申し訳ないって気持ちが、一ミリもないの?」
「い、いや……だって。お前が……」
「まだ言い訳? ほんと、自分のことだけが大切なんだね」
普通、プロポーズまでした相手に不貞行為がバレたら、ひとまず謝罪をするものではないだろうか。
それが、メッセージアプリも一切動くことがなく、今の今、会いに行くまで会話の一つもなかった。
(私のこと、その程度の女だったってこと? ほんと、つくづく最低な男……!)
彩絵と勝、どちらが先に言い寄ったのかは、この際どうでもいい。
勝の甘ったれた態度、言動、すべてが気に入らないのだ。
「な、なんだよ。てか、なんで社長がいんの……?」
すると、翔が満面の笑みで応える。
勝に、言いたい言葉があった。
伝えたい気持ちがあって、許せない思いがあった。
(そうだ。彩絵ちゃんに言って、それで終わりじゃない。すべての元凶は、勝の行動にあるんだから……!)
栗花落は真っすぐ翔を見て、ハッキリと告げた。
「社長。私、彼に言いたいことがあります」
その言葉に、翔は一度、大きく頷く。
「ああ。そうこなくっちゃ」
――――そして、二人は勝の働く部署がある階まで移動する。
まだ始業前だが、彼はもう会社に来ている頃だろう。
案の定、彼の席に向かうと、彼はスマホを弄りながら欠伸をかいていた。
そのだらしないところも、付き合っている頃はクスッと笑って流すことができた。
けれど、今になって彼のそんな姿を見ると、なんて緊張感のない男なんだろうと不快な感情が生まれるのだから、不思議なものだ。
「勝」
栗花落がツンと澄ました顔をして声を掛けると、彼は露骨にビクッと肩を震わせる。
「つ、栗花落!?」
勝は、いつも慌てるだけだ。
栗花落に対する謝罪も、申し訳ないという気持ちも、欠片も感じられない。
最初からこういう男だった、ということなのだろうが、どうして今までこんな男だと気づけなかったのだろう。
「ほんと、最低だよね。勝って」
「な、なんだよ。急に……」
栗花落は腕を組んで、彼を糾弾した。
「なんで、未だに謝罪がないの? 申し訳ないって気持ちが、一ミリもないの?」
「い、いや……だって。お前が……」
「まだ言い訳? ほんと、自分のことだけが大切なんだね」
普通、プロポーズまでした相手に不貞行為がバレたら、ひとまず謝罪をするものではないだろうか。
それが、メッセージアプリも一切動くことがなく、今の今、会いに行くまで会話の一つもなかった。
(私のこと、その程度の女だったってこと? ほんと、つくづく最低な男……!)
彩絵と勝、どちらが先に言い寄ったのかは、この際どうでもいい。
勝の甘ったれた態度、言動、すべてが気に入らないのだ。
「な、なんだよ。てか、なんで社長がいんの……?」
すると、翔が満面の笑みで応える。