「星奈ちゃんは、数学をやってたの?」
「うん」
「それじゃあオレも、数学をやろっかなあ。この間の中間テストも3位に順位が落ちて、親にめっちゃ怒られて大変だったし」
「え!?」
成績順位が学年で真ん中くらいの私からしたら、3位は十分すごいのに。
水上くんのご両親、厳しくないですか?
「オレの家は、昔から代々総合病院を営んでるから。特に、数学とかの理数系にはうるさくてさ」
やれやれと、肩をすくめてみせる水上くん。
そっか。水上くんのお父さんは、総合病院の院長ってだけでなく、全国的にも名前の知られた腕の良い有名外科医で。
何度かテレビ番組に出演しているのを、見たことがある。
「だからオレ、大学の医学部に入るために今から頑張らないといけないんだよね」
大学の医学部……!
水上くんは総合病院の跡取り息子とはいえ、中学2年生になってまだ間もない今から、自分の将来についてちゃんと考えてるなんて。
水上くん、えらいなあ。
「水上くんなら、きっと大丈夫だよ」
「ありがとう。星奈ちゃんにそう言ってもらえると、頑張れそうだよ」