……へ?
「きゃあああ」
そーちゃんのまさかのキスに、教室はまた一段と騒がしくなる。
「そっ、そーちゃ……なっ、何を」
「何って、挨拶のキスだよ」
「あっ、あ、挨拶!?」
手の甲とはいえ、今までキスなんてされたことのない私は動揺を隠せない。
「うん。アメリカや欧米では、普通に挨拶でハグもキスもするよ?」
不思議そうな顔で、首を傾げるそーちゃん。
さっ、さすが。アメリカ帰りというか、何というか。
小学生の頃のそーちゃんは、どちらかというとおとなしくて。
いくら挨拶とはいえ、こんなふうに簡単に人にキスしたりするような子じゃなかったと思うんだけど。
小学5年生からまた3年間アメリカに行って、変わったのかな?
「みんな! 僕のことは、気軽に想良って呼んで仲良くしてね。よろしく」
そーちゃんがパチンと片目を閉じると、また女子が叫ぶ。
学園のアイドルが、もう一人増えたなって感じ。
「澄野。お前、秋川と知り合いだったんだな」
「はい」
「だったら、澄野。昼休み、秋川に校内を案内してやってくれ」