「オーッ! キミはもしかして、せーちゃん!?」


私を見た瞬間、彼の顔がパッと華やぐ。


私のことを『せーちゃん』って呼ぶってことは、やっぱり……。


「秋川くんってやっぱり、そーちゃん!?」

「イエス!」

「わあっ。そーちゃん、久しぶり〜!」


私は思わず、席から立ち上がる。


「なになに? 星奈ちゃん、転校生くんと知り合い?」

「うん。小学校のときの友達なの」


水上くんに聞かれ、私は答える。


そーちゃんは、私が小学3年生のときにウチの近所に引っ越してきて。

小学5年生になる少し前まで、私と同じ小学校に通っていた男の子。

当時は、陽向と3人でよく一緒に遊んだりもしていた。


こうして会うのは3年ぶりだけど、あの頃よりもすごく大人っぽくなってて。

そーちゃんだって、すぐには気づかなかったよ。


「でも、まさか……こんなところでせーちゃんに会えるなんて」


ツカツカと歩いて私のところまでやって来たそーちゃんが、突然私の前でひざまずく。


「そーちゃん?」

「僕、アメリカに行ってからもずっと、せーちゃんに会いたかったから。こうして会えて、とてもハッピーだよ」


そーちゃんは私の右手を取ると、その甲にそっと口づけた。