だけど、すぐにふいっと逸らされてしまう。


……だよね。逸らすよね。


元々は自分がまいた種とはいえ、好きな人にそんな態度をとられるとやっぱり傷つくよ。


小学5年生のあのとき、失恋したも同然なのに。


長年積もりに積もっていた陽向への好きって気持ちが、そう簡単に消えることはなくて。


私は中学2年生になった今も、密かに陽向のことを想い続けている。



「それじゃあ父さんたちは、先に店を出るから」


しばらくして、向かいに座っていた朝陽おじさんが立ち上がる。


「えっ。お父さんたち帰っちゃうの!?」

「ああ。朝陽と二人でちょっと用があるんだ」

「だったら、私も帰る!」

「何言ってるんだ。星奈はまだケーキが残ってるだろ?」


私の目の前のお皿には、イチゴのショートケーキが半分ある。


「だから、あとは陽向くんと星奈の二人で仲良くやってよ」

「ちょっと、お父さん!?」


お父さんと朝陽おじさんはそれぞれテーブルにお茶代を置くと、本当にカフェを出て行ってしまった。


ちょっとー! 陽向と、ふたりきりにしないでよぉ……!!