「秋川、できれば日本語で頼むよ」
担任の先生も、苦笑い。
「オー、ソーリー。つい英語で話してしまって。改めて、僕の名前は秋川想良。父が日本人で、母はアメリカ人。父の仕事の都合で、2歳の頃からアメリカに住んでました」
彼の口から飛び出した日本語に、みんなホッとした顔になる。
「小学3年生から2年間だけ、日本で過ごしていたことがあるけど。アメリカでの生活のほうが長くて、分からないことも多いので。みんな色々と教えてください」
彼の自己紹介に、教室からパラパラと拍手が沸き起こる。
「これから、よろしくお願いします」
秋川くんは王子様が挨拶するみたいに右手を胸に当てて、うやうやしくお辞儀をする。
そして頭を上げた彼は、白い歯を見せ爽やかに微笑んでみせた。
「キャーーー!!」
秋川くんの王子様スマイルに、教室には再び女子の大歓声が。
す、すごい。
私が圧倒されていると。
偶然こちらを向いた彼と、パチッと目が合ってしまった。