「……2年7組ファイトーッ!」
すると体育館に突如、明るい声が響き渡った。
そちらに目をやると、コートの近くにいつの間にか水上くんが立っていた。
その隣には陽向もいる。
「みんなリラックスして。スマイル、スマイル!」
明るくそう言って変顔をしてみせる水上くんに、私やチームメイトたちは試合直前にも関わらず、思わず吹き出してしまう。
「もう! やだ、こうちゃんったら」
「最高ーッ!」
先ほどまでどことなく強ばっていたチームメイトの表情も、変顔効果で随分とやわらいでいて。
私の胸のドキドキも、落ち着いてきた。
「みんな! また緊張しそうになったら、オレのさっきの変顔を思い出してね」
キラキラの笑顔で手を大きく振ってくれる水上くんに、私もチームメイトたちも手を振り返す。
ほんとすごいな、水上くんは。
彼のお陰で張りつめていた場の空気が一瞬でなごんで、緊張もどこかへ吹き飛んでしまったよ。