『はあ? 何を言ってんだよ。俺は別に、せーなのことなんて好きじゃねえよ』って、陽向が答えて。


このとき私は、あっさり失恋。


『せーなは、ただの幼なじみだから』

『……っ』


“ただの幼なじみ”という陽向の言葉に、深く傷ついた。


陽向を好きなのは、幼なじみ以上に思っていたのは……私だけだったんだ。


ショックで頭がクラクラして、目にはじんわりと涙が浮かぶ。


『やーい。澄野、陽向に振られた〜!』

『しつれーん!』


そう言ってクラスの男子たちが騒ぎ立てるから、失恋のショックに泣く暇もなく私はつい言ってしまった。


『ひ、陽向のことが好きだなんて、ウソだもん!』


私が叫ぶのと同時に、教室はしんと静まり返る。


しまった。そう思ったけれど、一度口から出てしまったら、もう取り返しがつかなくて。


『……何だよ。ウソつくとか、お前最低だな』


そう言った陽向の声は、今まで聞いたことがないくらいに冷たくて。


それから陽向に『俺、嘘をつくヤツが一番嫌いだから。星奈とはもう絶交だ』とまで言われてしまった。