脈は速まり、動けないでいると。


「……っ」


口の端に、陽向の指がそっと触れた。


「ご飯粒ついてた」

「え!」


ご飯粒って!はっ、恥ずかしすぎる……!


そして陽向は今とったご飯粒を、なんでもないようにパクッと食べた。


「ひ、陽向……」


彼のまさかの行動に、私はびっくり仰天。


「なんかこういうの、許嫁っぽくね?」

「っ……けほっけほっ」


陽向の爆弾発言に驚いて、私は思いきりむせてしまう。


「い、許嫁っぽいって……」


まさか、陽向がそんなことを言うなんて。


「べつに、本当のことだろ?許嫁って、将来結婚して夫婦になるんだから。恋人以上ってことだぞ?」

「……っ」


そ、それはそうだけど。


陽向の言葉に、私は頬がかっと熱くなるのが分かる。


それから再び黙々と、ご飯を食べる陽向。


でも、陽向がそんなふうに言ったってことは……陽向は私と許嫁だってことを、嫌だとは思っていないってことなのかな?